「松屋菓子舗」の『鶏卵素麺』 (福岡県福岡市)

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感 想

福岡は博多にある、創業 延宝元年(1673)の老舗「松屋菓子舗」さん。
ここで作られているのが、見た目が素麺のようなお菓子『鶏卵素麺』です。

鶏卵素麺は、沸騰させた糖蜜の中に卵黄を糸のようにして流し込んで作るお菓子。
日本の三大銘菓の1つに数えられることもある歴史ある銘菓なんですよ。

写真は、この鶏卵素麺を食べやすい大きさにカットして求肥昆布で束ねた「たばね」という商品。
そのままの鶏卵素麺はちょっと食べるのが面倒くさそうだったので。。。(笑)

菓子の栞にはこんな注意書きが。
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「このお菓子は形が素麺に似ていますので、湯などをかけられる方もあるように
 聞き及んでおりますが、湯水をかけられず、このまま適当な寸法に切って、お箸で
 お召し上がりください。」

確かに未加工の鶏卵素麺の見た目は乾麺みたいだし、名前も素麺だし。
気持ちはわからないでもないですが、、、
いるんでしょうね。お湯かけちゃう人(笑)


そもそも、「鶏卵素麺」の元はポルトガルから伝わった南蛮菓子。
フィオス・デ・オーヴォスポルトガル語で「卵の糸」を意味するお菓子だそうです。
砂糖が高級食材だった時代、卵黄と砂糖のみで出来ている当時としては夢のお菓子です。

このお菓子に330余年の昔、長崎の平戸を訪れた松屋菓子舗の初代 利右衛門が出会います。
その味に感動した利右衛門は、点心師の鄭(テイ)さんという人に製法を伝授してもらい、
さらに、それを日本の風土に適応するように研究工夫をかさねて完成したのが「鶏卵素麺」です。

時の筑前福岡藩黒田光之もこのお菓子を気に入り、松屋菓子舗に黒田家御用菓子司を務め
させたほか、黒田家の家紋である定紋藤巴の使用を許したといいます。


では、さっそくいただきます!
口の中で金の束がほろほろと解けていく。
そして噛みしめるたびに、ジワっと甘い蜜が舌に広がります。
その甘さの中に、卵黄のふんわりとした風味が。

普通の和菓子とは、やはり少し趣が違います。

それにしてもこの甘さ。作られた当時は衝撃的な甘さだったことでしょう。
贅沢な甘さと風味に、当時の人達は異国を感じたのかもしれませんね。

お茶席でも喜ばれるようですが、コーヒーにも合うお菓子だと思います。

情 報

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/kimuyasu10/20010101/20010101010920.jpg松屋菓子舗 【住所】福岡県福岡市博多区上川端町14-18 【営業時間】9時~18時 【休業日】年始 【TEL】092-291-5244 【アクセス】市営地下鉄「中洲川端駅」下車~徒歩 【周辺史跡】福岡城